建築トラブルのご相談
欠陥住宅・手抜き工事
注文建物の欠陥
注文建物の欠陥は、建築紛争の中でも、最も頻繁に起こりうる事例です。 注文建物の引渡後に欠陥が判明した場合、建物の発注者(施主)は、請負人(工務店・ハウスメーカー等)に対して、請負契約に基づく瑕疵担保責任等を理由として、損害賠償や契約解除を請求できる場合があります。 こうした紛争の場合、注文建物の「瑕疵」(=欠陥)の存否が争われることが多く、訴訟における最大の争点となります。 建物のどこに、どのような瑕疵があるか、また、それによって、どのような損害が生じたかということについての主張・立証が、請求の成否を分けるポイントとなります。
購入建物の欠陥
建売住宅やマンションなどを購入し、購入後に建物に欠陥が存在することが判明した場合、買主は、購入建物の売主に対して、欠陥の修理費用等の損害賠償を請求したり、また、契約を解除したりすることができる場合があります。 また、建物の欠陥が重大な欠陥である場合には、契約関係にはない設計者や施工者、監理者などに対して損害賠償を請求することが出来る場合があります。
建物の設計・監理上の欠陥
建築基準法上、一定の規模の建築物の工事については、建築士の設計によらなければすることができず、また、建築主は、建築士を工事監理者(工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認する責任を負う者)に定めなければならないと規定しています。 こうした中で、建築物の瑕疵が、建築士の設計に原因がある場合や、建築士が適切な工事監理をしなかったことに原因がある場合があります。 このような場合、建物の建築主や買主が、建物の設計者や監理者に対して、損害賠償請求をすることができる場合があります。
リフォーム工事の欠陥
建物のリフォーム工事を行った結果、建物に欠陥(瑕疵)が生じ、再工事が必要となる場合があります。 こうした場合、リフォーム工事の発注者としては、工事の請負人に対して、瑕疵の修補や損害賠償、契約解除による工事代金の返還を請求することができる場合があります。 リフォーム工事の場合、新築建物の建築工事とは異なり、既存の建物の状態を前提に工事が行われることから、リフォーム工事前の建物の状態や、リフォーム工事契約の内容等について留意が必要となります。
建築・近隣トラブル
日照トラブル
近隣土地に高層建物が建築されることにより、自己の建物への日照が遮られるということがあります。 建物の日照に関しては、行政法規上、及び、民事法上において一定の保護が与えられており、日照阻害の程度が著しい場合などには、日照阻害を生じさせる加害建物の建築主や施工者を相手方として、差し止め請求や損害賠償請求を行うことが出来る場合があります。
騒音・振動トラブル
建築工事の実施によって工事の騒音や振動が発生し、近隣住民の生活に重大な影響が生じることがあります。 建築工事によって生じる騒音・振動については公法上の規制がなされており、工事の施行者が、こうした規制に違反して工事を行っている場合には、行政庁を通して規制の遵守を求めることができる場合があります。 また、近隣住民が、工事の騒音・振動によって損害を被った場合には、施工主に対して、損害賠償を請求することができる場合があります。
眺望・景観トラブル
建物が建築されることによって、近隣に居住する住民が従前から享受していた、眺望(特定人が特定の場所から得られる眺めや見通し)や、景観(不特定多数人が享受することのできる広域の眺めや見通し)が阻害される場合があります。 こうした場合、眺望・景観を阻害された近隣住民が、建物の建築主に対して、損害賠償等を行うことができる場合があります。 もっとも、眺望・景観の場合、日照や騒音・振動と異なり、生活との密接性が強いとはいえないこと、また、眺望・景観の価値が主観的な評価に基づくものである部分があることから、請求が認められる要件については、実務上、厳格に解されています。
請負代金の支払請求
建築工事の終了後に、建築業者と施主(発注者)との間で、請負代金の支払を巡り、トラブルになることがあります。 こうした場合、建築請負契約の内容や、工事完成の有無が争われたり、また、施主から工事の瑕疵の主張がなされたりすることによって、紛争が複雑化するおそれがあります。 また、元請負業者から下請業者、孫請業者と多段階にわたって請負契約が締結され、複数の建築業者が工事に関与している場合などには、特にトラブルになることが多いと思われます。 このような場合には、建築業者の方としては、弁護士に請負代金の回収を依頼することで、迅速な回収を図ることができるというメリットがあると思われます。 また、建築業者から請負代金を請求されている施主の方としては、弁護士に業者との交渉や訴訟対応を依頼する事で、法的に適正な範囲内での代金の支払いをすることが可能となるというメリットがあるかと思われます。